「ギヴン」感想 〜バンドに青春を捧げた彼らの物語〜
*多少のネタバレを含みます!!!
ノイタミナ枠でアニメ化した「ギヴン」。
既刊は1〜5巻まで。
オンライン視聴はFOD限定なんですよ。
ギヴンはいいですよね。ノイタミナ枠でアニメ化するのも頷ける作品です。
確かな画力、巧みなキャラクター造形、上手なストーリー構成、・・・と全体的にとてもレベルの高い漫画です。
キャラクターの心情とか細かい感情の揺れ動く様を、表情、台詞、動き・・・で魅せる、その魅せ方が本当に上手。
心情をいかに読者に伝えるかという点には、その作品の作者の力量が正に問われるところかなと思います。
そして、台詞回しとか絵のタッチ、全体の雰囲気にはお洒落な青春物語といった風情を感じさせます。
BL的なファンタジーさはあまり感じさせない(もちろん多少はあるのですが)とても良くできた青春映画のような作品です。
真冬くんがかわいいです。
天然でふんわりとして守ってあげたくなる雰囲気だけど、人の感情の機微には敏感で、小悪魔のような一面もあって、これ絶対モテる(確信)。というかこういう女性います、そしてモテますよね。
もう何かずるい。あざとい。
バンドのボーカルを務める事になる真冬は内向的で感情を表すのが苦手で、でもだからこそ音楽を通じて感情を爆発させる才能に恵まれている。
愛する人を失った寂しさ、悲しさ、孤独を音楽に昇華させることで真冬は自分を救って、そして次の愛する人を見つける。
バンドのギター、上ノ山はちょっと俺様っぽいところのある性格でツンとしているけれど、とても面倒見のいい性格。
真冬の才能、ミステリアスな部分、放っておけない部分、に丸ごと、どうしようもなく惹かれていきます。
そしてバンドのベース、春樹は他の3人と比べて音楽において特別な才能はないけれど、優しい性格でバンドをまとめるお兄さんのような存在。春樹は読者が一番感情移入しやすいキャラクターでしょうね。ドラムの秋彦に惹かれてしまい葛藤します。
バンドのドラム、秋彦は気が利いて素っ気ないのに優しくて、どこかアウトローっぽい雰囲気のある、こういう男性モテるよねという(真冬がモテる女性のようなキャラクターであると言いましたが、こちらは男性版やけモテキャラ)。作中でもモテることが強調させています。彼は、他人の圧倒的な才能の前に挫折して、しかもその才能の持ち主に惚れているという事情を抱えています。
誰かに惹かれるからこそ、その想いが強いほど孤独や寂しさを強く感じる。けれどそんな感情を音楽に昇華することで生きていく。
私は、そんな彼らの物語にどうしようもなく惹かれてしまうのでした。
そして、アニメもいと良きです。バンドアニメなので、音楽が乗ったときめちゃ心が震えます。
漫画で音楽を上手に表現するキズナツキ先生の筆力も素晴らしいわけですが。
最近のノイタミナはいと素晴らしですね(大感謝!!)。